- 2008年2月 1日 20:06
- Book
この本は、その名のとおりフェルマーの最終定理がどのようにして解かれたかを、数学史とともに描く本である。
フェルマーの最終定理は多くの方がその名前は聞いたことがあると思う。ピタゴラスの定理の拡張版みたいなもので、フェルマーが”3以上の自然数nにおいてxn + yn = zn となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない”とした定理のことである。なお、nが2の場合がピタゴラスの定理となる。
さて、この本は、ピタゴラスの作った教団から話が始まる。紀元前6世紀のころのことである。それから、数学史を紐解く形で、それぞれの時代の数学者の数学における貢献や、時にはある数学者を襲った運命などもつづりながら、数学の発展が描かれる。
そして、この本が面白くなるのは、日本人、谷山豊と志村五郎が登場してからである。この二人は、戦争のため遅れていた日本の数学界の中で、独自に研究をし、”谷山=志村予想”を発表する。この予想は、非常に強力なものであり、”もし谷山=志村予想が成り立つと仮定すると~が証明される”といった論文を数多く生み出したが、その証明は非常に困難とされていた。そして、ある数学者がついに”谷山=志村予想が証明されれば、フェルマーの最終定理が証明される”という発見をする。
ここで、アンドリュー・ワイルズが登場する。彼こそ、フェルマーの最終定理を証明した人である。そして、いかにワイルズがフェルマーの最終定理を解いたかがその苦難とともに描かれる。
この本は、いろいろ素晴らしい点があって、数学史を概略できることや、ワイルズがフェルマーの最終定理を証明するまでの推理小説のようなワクワク感が味わえることである。そして、僕のような数学が苦手な人にとってうれしいことに数式が一切出てこない(参考としていくつか簡単な数式の証明が本文の後についているが、読み飛ばしたところでなんら本書の理解を妨げない)。にもかかわらず、フェルマーの最終定理を解く困難さや数論の美しさを感じることができる。また、訳者があとがきでも述べているが、中世の女性数学者や、日本人など、その時々のマイノリティーであった人々も等しく取り上げている点である。
数学が嫌いな方は数学史+推理小説として、数学が好きな方はより高度な数学書を読む上での1ステップとして読んでみてはいかがだろうか。なにせ文庫版ででているので、これだけの良書にしては安い買い物である。
ともあれ、この本の面白さをうまく伝えられられない自分の日本語力にガッカリである。
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